看護スタッフによる「看護だより」

第9回のテーマ「『甲状腺ホルモン薬の飲み方』」

こんにちは。
昨年は11月に雪が降りましたね。
年が明けまして、これから益々寒さも深まっていくと思いますが、みなさま体調管理にご留意下さい。


第9回のテーマは甲状腺ホルモンの薬を内服されている方へ』です。

甲状腺ホルモン製剤(チラーヂンS、レボチロキシンなど)は、飲み方に留意して頂く点があるお薬です。

お薬を適切に内服していただきお薬の効果を十分に得ることができるよう、私たちのクリニックでは、初めて甲状腺ホルモン剤を内服する患者さんに、看護師が内服指導を行っております。
薬をきちんと飲んでいても、薬の効果を十分に得られていないケースがまれにあります。以下の飲み方の違いでお薬が十分に吸収出来ていない場合があります。

甲状腺ホルモンの薬の飲み方

  1. 飲み薬ですので「お水」や「さ湯」などでお飲み下さい。コーヒーは、お薬を吸収にしくくさせる可能性があるため、一緒に内服することは避けましょう。
  2. お薬の吸収を良くするために就寝前で、食前30分前 または 食後30分以降に内服をすることをおすすめします。
  3. お薬の血中濃度を一定に保つために、内服のタイミングは毎日だいたい同じ時間帯に内服することが大切です。

注意点について

ヨウ素を多く含む食品(特にコンブ)を過剰摂取しないよう心がけましょう。ヨウ素を多く摂取すると甲状腺ホルモンの生成が抑制されてしまい、自分の甲状腺から分泌されるホルモン量が低下する原因になります。橋本病または甲状腺機能低下症の診断で甲状腺ホルモン内服中の方は、補充するホルモンの必要量が増える可能性があるため日ごろからヨウ素を多く含む食品の過剰摂取に気を付けましょう。

イソジンによるうがいは避けてくださいうがいはお水や塩水などで対応しましょう。

自己判断で服用を中止しないでください甲状腺ホルモン剤は、内服する目的や病状によって内服期間が異なりますので、医師の指示に従って内服して下さい。

もし、飲み忘れてしまったら

飲み忘れてしまったら、気がついたときに1回分をお飲み下さいその次からは通常内服している時間帯で服用を続けて下さい。2回分を飲み忘れてから気がついた場合は、気がついたときに1回分のみを内服し、その後は通常の時間帯で服用を続けて下さい。(2回分を1度には服用しないよう注意ください)

妊娠していたことがわかった場合

胎児への影響はほとんどありませんが、判明したら担当医に相談しましょう甲状腺ホルモン剤は胎盤を通る量はわずかであるため、胎児への影響はほとんどありません。逆に甲状腺ホルモンが足りないことで胎児に影響を及ぼすことがありますので、妊娠中の甲状腺機能を正常に維持することが重要です。妊娠前よりも多く甲状腺ホルモン剤の投与が必要になる場合もあります。

授乳しても大丈夫?

甲状腺ホルモン剤は母乳へ移行する量はわずかであるため、乳児への影響はほとんどありません。母体の甲状腺機能の維持が大切になってくるため、甲状腺ホルモン剤を自己判断で中止しないでください。気になる点がある場合は、受診して担当医に相談しましょう。

甲状腺ホルモン剤と他のお薬との相性について

お薬の種類によっては、甲状腺ホルモン剤を吸収しにくくさせたり、甲状腺ホルモンの代謝を強めたり、甲状腺ホルモンの分泌を抑えてしまう薬剤などがあります。病気の内容や他の内服薬の種類により必要な場合は調整をします。担当医に相談ください。

※甲状腺ホルモン剤を処方されたら、必ず現在内服中のお薬について医師にお伝え下さい。

※他の病気にかかったり、他の病院で新しくお薬を処方された場合は、甲状腺ホルモン剤を自己判断では中止せず、まずは医師にご相談下さい。

甲状腺ホルモン製剤を飲む目的

  • 橋本病(慢性甲状腺炎)などで甲状腺ホルモンが低下している場合に足りないホルモン量を補うため
  • 甲状腺の機能は正常であるが甲状腺の腫れが大きく、その腫れを小さくするため
  • バセドウ病の治療中で甲状腺機能の調整するため
  • バセドウ病や甲状腺癌などで甲状腺手術を受けた方が術後にホルモンを調整するため
  • 甲状腺癌の再発を予防するため
  • 不妊治療において甲状腺の機能を調整するため
  • など、様々な目的で内服されるお薬です。

 

副作用について

指示通りの量をきちんと内服していれば、副作用はほとんどありません。
投与量が多くなると、頻脈・動悸・不眠などの症状がみられることがあります。