看護スタッフによる「看護だより」

第5回のテーマ「『橋本病と不妊症について』」

こんにちは。南池袋パークサイドクリニックの看護師です。
クリニックがオープンして早いもので2年が経ちました。
これからも、患者さんのよりよいサポートが出来るようにスタッフ一同、初心を忘れずに日々過ごしていきたいと考えております。

さて、第5回目のテーマは『橋本病と不妊症』についてです。

様々な背景により不妊症のカップルは年々増加傾向にあり、日本での生殖医療技術は急速な進歩を遂げていることから、不妊治療のますますニーズは高まってきております。 不妊症では女性ホルモンだけではなく甲状腺ホルモンが関係することもあります。甲状腺疾患が原因の不妊では不妊治療に続いて妊娠、出産、産後と広く関わっていくことになります。
当院でも不妊クリニック等から紹介されて来院される方もいらっしゃいますので、看護便りでは3回に渡り「甲状腺と不妊症について」にスポットを当てていきたいと思います。


不妊治療のほとんどの施設が甲状腺機能の検査を行います

不妊治療におけるスクリーニング検査において、ほとんどの施設が甲状腺機能の血液検査を行っています。それは、甲状腺機能の低下や亢進がいずれの場合にも、不妊や流産などと関わっていることが指摘されているからです。

橋本病(甲状腺機能低下症)と不妊について

橋本病だからといって不妊症になることはありませんが、橋本病による甲状腺機能低下状態が続くと、月経不順などの異常が起こり、妊娠しにくい状態になることがあります。
また、甲状腺機能低下により、視床下部からの甲状腺刺激ホルモンの分泌が亢進することで高プロラクチン血症になると着床や妊娠維持に関係する場合があります(プロラクチンは、着床や妊娠維持に必要なホルモンです。高プロラクチン血症は排卵障害や黄体機能不全の原因となり不育症の約15%が、高プロラクチン血症と言われています)。

甲状腺ホルモンは胎児の発育に必要不可欠

胎児は自身での甲状腺ホルモン産生能力がないため、母親から移行する甲状腺ホルモンに依存しています。このため、母親の甲状腺機能が低下したまま妊娠すると、流産の可能性は通常の妊娠よりも高くなると言われています。橋本病の方では、妊娠中の甲状腺ホルモンの服用量は普段よりも多く必要になることがあります。

橋本病と診断された女性の方で、ご妊娠を考えている方へ

妊娠すると妊娠前よりも多く甲状腺ホルモンを必要とします。
健常な女性でも妊娠10週以降に甲状腺ホルモンは低くなることがあります。そのため、橋本病と診断されている方は妊娠中の甲状腺機能低下を起こす可能性があり、こまめな経過観察が必要です。甲状腺のホルモンの値によってはお薬を調整する必要があります。妊娠が判明した場合は一度受診をお勧めしております。

甲状腺機能低下状態にある場合は、妊娠前から甲状腺ホルモンを調整していくことが必要です。

甲状腺機能の血液検査の結果は約1時間

当院の甲状腺の血液検査は1時間ほどで結果がでることがほとんどですので、気になる症状のある方はご予約の上ご来院下さい。
※当日に結果を聞きたい場合は、お時間に余裕を持ってご来院下さい。
※診察の混雑状況によって診察時間は前後いたします。また、検査内容によっては当日に結果が出ない場合もありますのでご了承下さい。

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