看護スタッフによる「看護だより」

第8回のテーマ「『亜急性甲状腺炎』」

こんにちは。
第8回目のテーマは亜急性甲状腺炎についてです。
風邪に似ている症状も含まれることから、
甲状腺の病気とは気づかずに過ごされることもあります。


亜急性甲状腺炎の症状について

  • 発熱があり(しばしば高熱)、頚部(首の前の辺り)に痛みがある、または押すと痛みがある
  • 痛みの場所が左右に移動する
  • あごや耳の辺りに痛みがある
  • 全身倦怠感がある
  • 動悸、体重減少、発汗が多い

風邪の後に起こることが多い

原因ははっきりとしたものはわかっていませんが、風邪(喉などの炎症)の後に起こることが多く、ウィルス感染の可能性が高いと考えられています。
炎症により甲状腺の組織が破壊されることによって一過性の甲状腺中毒症状(血中の甲状腺ホルモンが高い値となること)を引き起こすことがあり、バセドウ病の症状と同様に、全身倦怠感や動悸、手の震え、発汗などが出現します。
※亜急性甲状腺炎は、30~50歳代の女性に多い病気です。

検査方法について

  1. 血液検査
    血液検査でいくつかの項目を検査します。
    典型的な症例では、炎症反応を示す「CRP」が上昇します。また、
    「甲状腺ホルモン」の値が一時的に上昇します(FT3、FT4の上昇、TSHの低下)。
  2. 超音波検査
    超音波で甲状腺を映像化し検査します。
    痛みのある部分に、しこりのような所見や、炎症所見がみられます。

治療方法について

  1. 自然治癒
    亜急性甲状腺炎は治療しなくても、数週間から数か月で自然治癒します。
  2. 消炎鎮痛剤
    対症療法として、消炎鎮痛剤を使用します。
  3. 副腎皮質ステロイド薬
    炎症が強い場合は、副腎皮質ステロイド薬を使用します。
    使用後は、症状や検査結果を踏まえながら医師の指示のもと徐々にお薬を減らしていき、ゆっくりと時間をかけながら止めていきます。症状が良くなったからといって、突然お薬を止めてしまうと症状が再び悪くなってしまう場合もあるためです。

日常生活について

  • 症状が強いうちは無理をせず、なるべく安静に過ごしましょう。
  • 炎症が強い時は、入浴や飲酒はお休みしましょう。
  • 食事は特に制限はありませんので、食べられるものを食べましょう。
  • 処方されたお薬は医師の指示通りきちんと内服しましょう。

亜急性甲状腺炎は、風邪や扁桃腺炎に似ている症状が含まれます。
症状でご心配なことがある場合は、まずクリニックに受診しご相談下さい。


甲状腺機能の血液検査は約1時間で結果が出ます。
診察の混雑状況によって診察時間は前後いたしますので、当日に結果をお聞きになりたい場合はお時間に余裕を持ってご来院下さい。また、検査内容によっては当日に結果が出ない場合もありますので予めご了承下さい。